WFCからのお知らせ
12月8日(土)、第4回の WFC Hiroshima を つ・た・え・る 基礎講座が開かれました。講師は渡辺茂美さん(ジャーナリスト)。中国放送勤務時代、原爆、Hibakushaに関する多くドキュメンタリー作品を手がけられた方。第1期に続いて講師を引き受けてくださいました。広島菜で知られる川内地区、1945年8月6日、川内村の男性たちは義勇隊として、建物疎開にでかけ、被爆、約200人の方が亡くなられました。そして、川内村には約80人の未亡人の方達が残されました。渡辺さんは、川内村の記録「そして妻たちが残った」という作品を残してられます。取材の中で感じられたことなどをお話くださいました。本川、西平和大橋の川上(平和公園側)に、義勇隊の碑があります。ご存知ない方は一度足を運んでみてください。
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「アメリカPAXツアー」を振り返って
平和の基礎となるもの
12日間のアメリカPAXツアーは、私にとって「きっかけ」の旅となりました。
日々の体験や気づきから、外からの視点でヒロシマを見るきっかけ、大きな意味で「平和」を考えるきっかけ、そして自分を再確認するきっかけを得られました。
シカゴ大学の最初の核実験施設跡地にある記念モニュメントや国立アメリカ空軍博物館の展示を通して、核開発の始まりが現在も称賛されている文化を目の当たりにしました。ウェスリアン大学で中国人男性から第二次世界大戦中に日本軍がアジア諸国に行ってきたことへの指摘もありました。それぞれのストーリーがあり、歴史的解釈がある中、どうしたら未来に目を向けて話し合い、平和に向かって共に歩んでいけるのか。私たちの世代はこれからヒロシマをどう伝えるべきなのか。
ウェスリアン大学でのピースカンファレンスを通しては、紛争、歴史を遡る憎み合い、格差社会、男女差別など、世界中でそれぞれの「平和」を必要としている人たちの現状とそれらの状況を改善するための活動について学びました。「平和」とはなんなのだろう。一人一人にとっての平和は違うのか。共通するところはなんなのだろう。
私の中で答えは定かになっていない疑問ばかりですが、このようなことを考え、持ち帰ることができました。それらを心に留めながら、さらに学ぶ中で、その答えを少しずつ探っていきたいと思っています。
具体的な気づきとしては大きく二つあります。
一つめは、大学で何度か行ったクラス訪問です。そこでは、一方的プレゼンではなく、質疑応答などの対話が主でした。そこには能動的で直接的な人との繋がりがあり、とても有意義だと感じました。
二つめは、アートの力です。私のプレゼンでは「ヒロシマの孫たち」について少し紹介しました。そして天野さんの「父と暮せば」のひとり読み語りしばい。ヒロシマを伝える効果的な一つの手段として、アートには特別な力があると再確認しました。人間として、心が自然と共感したり、動かされたりする力に人種や国籍などは関係ありませんでした。
これらの気づきをこれから活かしていきたいと思います。今回は大学生より上の人に話すことが主でしたが、次回はもう少し広い世代に、歴史、証言、アートを含め、様々な方法を通してヒロシマを伝え、私たち一人一人が核問題を自らが直面している人類の課題として捉えていくことにつながってほしいと考えます。
毎日が新しいプレゼントを開けるかのような毎日でした。私が赤ん坊の頃に知っていたのよ、という女性との驚きの嬉しい再会が2回もありました。たくさんの人にお世話になり、様々な出会いの中で改めて感じたことがあります。それは、対話による学び、理解、繋がり。すなわち友達になること。やはり平和の土台はそこにあるのかなと強く思いました。
ブレズレン・ボランティアサービスのダンと妻のウェンディ。あなたたちの溢れる寛容さに感謝します。夜の会話の中では、新しい視点をたくさんもらいました。ベーグルから始まり、ベーコン、そして最高のコーヒー。私の小さなアメリカンドリームを叶えてくれました。二人のおかげで私たちの旅は素晴らしいスタートを切ることができました。
イリノイ・ウェズリアン大学のジョージー。意義深いピースカンファレンス、そしてそこから生まれたかけがえのない繋がりをありがとう。色々な気づき、そして学ぶことの幸せ、大切さを改めて感じることができました。あなたと、人として、女性として直面する様々な問題を語り合えた時間は本当に楽しかった。
ウィルミントン大学のタニア。短い時間の間にコミュニティー、アート、博物館と、信じられないくらい多方面から平和を考え、経験させてくれてありがとう。あなたの穏やかでありながら、静かに燃え続ける強さが私は大好きです。そして今までアメリカで食べた中で一番美味しかったかもしれない食事をありがとう。
歴史をもう一度学び直し、それを通して現在を考える必要性を気づかせてくれたスナイダー夫妻にも感謝しています。手作りデザート、そしてベーコンをたくさんありがとう。
ブラフトンのアリス。何年ぶりかわからないくらい長い年月を挟みやっと再会でき、あなたの89歳のお誕生日も一緒に過ごせて、本当に嬉しかった。私が小さかった頃から、今も変わらず、愛情を注いでくれてありがとう。そんなあなたの周りには愛情によって築かれたコミュニティーがあり、平和の根底にあるべきものを垣間見たような気がします。
共に旅をしてくださったPAXメンバーの方たち。それぞれの個性でお互いを支え合いながら過ごした掛け替えのない時間と、たくさんの笑いをありがとうございました。
そして最後に、いつも見守ってくださり、今回私にこの素晴らしい機会を与えてくださったWFCの皆さんに心からの感謝を送ります。
写真:写真がボケているのが残念ですが、私の楽しい旅仲間3人。大合唱しながらお散歩していました!
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11月24日(土)、WFC Hiroshima を つ・た・え・る 基礎講座(第2期)第3回目の講座は、軍都廣島の中心を歩くフィールドワーク。案内は多賀俊介さん(廣島・ヒロシマ・広島を歩いて考える会代表)広島城内、周辺の旧陸軍関係の施設跡や碑をみてまわりました。歩いてみるとその広さを感じる事が出来ました。原爆投下の標的とされた理由の一つ軍都廣島について、加害の側面についても知ることが出来たフィールドワークでした。
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「PAX アメリカツアーを終えて―真のボランティア精神から伝えられる平和―」
西井 美穂
私はPAX(Peace Anbassador Exchange、平和大使交換プログラム)のメンバー4人の一人として、2018年9月17日アメリカへ渡りました。
私の参加したPAXアメリカツアーは、9月17日から28日までのシカゴを中心とする12日間、4か所に数日間滞在しながらぐるっと一回りしてシカゴに戻り帰国するという行程でした。ぎゅっと凝縮され密度の濃い旅であろうと、これまでのPAXツアーに参加した諸先輩方から聞いておりました。参加前から様々な配慮をいただいていたこのツアーは、学び萬斎の楽しい旅であることは予想されましたが、体力の面で少し不安がありました。実際には、その不安も杞憂に終わり、最初から最後まで幸せな持ちで過ごすことができたのは、一緒に行ったPAXメンバーの仲間と日米のボランティア精神にあふれた人たちの連携プレーのおかげだと思っております。
このPAXツアーでの私の最大の学びの一つは、アメリカでは、家庭が一つの明確な社会の単位で、一人ひとりが社会に開かれているということを肌で感じることができたということでした。今回は平和のために活動している人たちとの出会いが中心だったので、そう感じたのかもしれません。しかし、積極的に他者のために働くための確固とした土台・組織があり、そこで働く人は楽しみながら責任をもって活動しているという様子をみるにつけボランティア精神が社会や個人に根差しているということを感じました。他者のために働くことは自己犠牲ではなく、むしろ自己の価値とつながっていることに感動しました。
さて、PAXメンバーとしての私のプレゼンテーションですが、出発直前日本で確認できたことは、12日間で自己紹介なども含めて少なくとも12回行うということでした。シカゴ周辺のElginのChurch of the Brethrenで2回、bloomington・NormalのIllinois Wesleyan Universityで7回、Wilmington Collegeでは2回、Bluffton UniversityのLion and Lamb Peace Arts Centerでは1回。
すべてのプレゼンテーションは、たとえ拙いものであったにしろ、私にはかけがえのない時間でした。しかしその中でも最も緊張し、かつ不安をおぼえ、また感動を覚えたプレゼンは、Illinois Wesleyan Universityでの日程の最後の日に行われた、Panel Discussionでした。私を除くパネリスト3人は、アフリカや中東出身の難民として生き抜いた人や、平和活動家などアメリカ在住の人たちでした。体験においても、英語力という意味でも、相当私とはかけ離れていると初めからわかっていました。それでも私は、自分のテーマである“The Spirit of the Memorial Cenotaph for Atomic Bomb Victims(原爆慰霊碑の精神)”は、根底において彼らの平和活動の精神とつながっていると信じていました。
Panelの終了する約30分前のことです。会場後方から、一人の中国の方が私に対して厳しい指摘をされました。日本人の南京大虐殺について数字をあげて糾弾するという雰囲気もありました。私はその時、過去の日本人の行為について謝罪するとともに、戦争には勝者も敗者もないこと、原爆慰霊碑は、人類の一員として戦争に加担したことを反省し、死者の前で戦争を絶対にしないことを誓うためにあると述べました。被爆者の場合は、原爆の被害者でありながら世界的な視点からは加害者であり、未来の平和のためには、被爆者を含む全人類が恨みや被害者意識を乗り越え、世界平和を誓うことが必要であることなどを、浜井信三元広島市長の自伝である『原爆市長』から引用しながら説明しました。自分の言いたいことが伝わったかどうか疑問でしたが、会場から拍手が聞こえたのでほっとしたのを覚えています。
WFC広島やアメリカの皆さまには、こうした機会を与えていただきありがたく感謝の気持ちでいっぱいです。英語能力の向上は、私の今後の課題としたいと思っています。
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アメリカPAX 2018
天野達志
この度、PAX-USA 2018 に参加させていただきました。
今年4月、WFCの山根理事長より、「『父と暮せば』の一人芝居をアメリカでやってみないか」とのお声がけを頂いたのが始まりでした。英語字幕付きの公演を、既に館長ご夫妻をはじめ、WFCの方々にも観て頂いていましたので、是非やらせて頂きたいとの思いでお受けしました。日本の代表的な劇作家、井上ひさしが描いた、広島の原爆をテーマにしたこの物語を、アメリカの地で上演するという、大変貴重な機会を頂きました。「英語力の殆ど無い私が、果たして務まるのだろうか」という心配はありましたが、PAXメンバー(三村さん、西井さん、田城さん)の強力なサポートのおかげで、4会場でのパフォーマンスを全て大成功で終えることが出来ました。お力添えを頂いた皆様に心より感謝申し上げます。
ツアーでは、どの地でも、出会う方々みなさんに暖かく迎え入れて頂き、多くの方々のご支援を頂きました。イリノイ州エルジンのブレザレン教会での公演(9/19)では、ダンさんが、本番ぎりぎりまで、機器の調整に奔走して下さいました。ブルーミントンのウエスレアン大学(9/20)では、ジョシーさんが中心者となって動かれ、大学の先生にも通訳でお世話になりました。会場が、笑いと涙に包まれ、スタンディングオベーションを頂きました。ご来場のレイモンド・G・ウイルソン氏と昭子さん御夫妻から、被爆後の広島のパノラマ写真を3部頂きました(写真は後日、デイトン国際平和美術館とアリス・ラムセイヤーさん、WFCにお届けしました)。オハイオ州ウィルミントン大学(9/25)では、ピース・リソース・センターのタニヤさんに、脚立に登って、会場の照明をセットして頂くなど、大変お世話になりました。宿泊させて頂いたスナイダー氏ご夫妻や地域の皆さん、大勢の学生さんが観に来られました。ブラフトンのファースト・メノナイト教会(9/27)でも、地域コミュニティーの皆様が大勢いらっしゃいました。バーブさんの弟・ケンさんも来られました。89歳の誕生日を迎えられたアリスさんは、益々お元気で、私たちに細やかなお気遣いをして頂き、大変お世話になりました。
今回のツアーを振り返り、行く先々で出会った人たち、案内をして頂いた方々、暖かく迎え入れてくださったホストファミリーの皆さん、会場に足を運んでくださった方々、PAXメンバーの一人ひとりに、改めて感謝申し上げます。そして、このような貴重な機会を授けて頂いたWFCの皆様に、重ねて御礼申し上げます。ありがとうございました。
今回のツアーでの体験を、平和のメッセージを伝える公演活動に活かして参ります。広島と長崎に落とされた原爆の実相や、WFCを創られたバーバラ・レイノルズさんはじめ、核廃絶・世界平和に取り組んだ方々の歴史をさらに学び、伝えて参ります。今後とも宜しくお願い致します。
ありがとうございました。
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