友愛5月号—キャパー実生さんの韓国PAX報告

友愛
特定非営利活動法人ワールド・フレンドシップ・センター機関紙

韓国PAX研修を通して
キャパー 実生


私は、PAXを通して韓国の若者の平和に対する思い、日韓の歴史的問題、韓国文化を理解し、体験することを目標としていました。その中でも、日韓の歴史的問題特に慰安婦問題のことを最初期待していたよりも深く理解することができ、今まで見たことのない視点から学ぶことができたとお思います。

まず、1日目には日本大使館前で行われた慰安婦問題のデモに参加しました。そこには休日にもかかわらず大人だけでなく若者が大勢いたことに私はとても驚きました。

彼らは、大人に言われたから黙って座っている日本の学生とは違い、積極的に呼びかけたり、歌を歌ったりしていて、正しくないと思うことに対して自らが進んで行動を起こす姿が印象に残りました。

二日目には、ナヌムの家に行って、戦争時の日本軍の下で女性たちがされた酷い過去について学びました。ハルモニの方々から直接話を聞いた時には、博物館で見たことが実際に今目の前にいる人に起こったのだと考えると涙が出ました。日本の学校に通い、日本の平和教育を受けてきた私が学校の教科書から学ぶことのなかった韓国側の事実を知ることができて、心が痛みました。ハルモニの方々が求めていることは、基本的に謝罪と慰安婦問題のことを教科書に載せることなのに、日本政府はなぜそれができないのか私には理解できませんでした。三日目にあった松本さんの被爆証言とその後あったQ and Aの時に私は言いましたが、過去の過ちを理解しないと未来の平和は実現できないと思います。

三日目の夜にあったQ and Aの時には、日本語と英語の訳をしている時にみんなの思いを聞くことができて様々な視点から物事を見ることができたと思います。そして、みんな日本の若者の思い、私たちが受ける平和教育に対し大きく興味を持ってくださって、一生懸命答えましたが、普段そういう質問を受けるのに慣れていなかったため、自分の考えを全て伝えることができなかったです。このような研修を受ける機会がある人は多くいないからそのぶん自分の意見をしっかりと持ってこの度経験することのできたことを少なくとも日本での友達や先生方には上手に伝えられるように頑張りたいと思います。

最終日には、ホストファミリーとココちゃんとオースティンと商店街でお買い物をした後、ピースビルディングに戻り、みんなで夕食を食べた後に輪になり思い出や印象に残ったことを話しました。私はこの研修中私を受け入れてくださった素敵なホストファミリーと携わってくださった方々にとても感謝しています。

この経験は一生忘れません。

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友愛5月号—立花志瑞雄さんの韓国PAX報告

友愛
特定非営利活動法人ワールド・フレンドシップ・センター機関紙

2019 韓国PAXレポート
立花志瑞雄


4月30日から5月5日まで、WFC 韓国PAXのツアーリーダーとして韓国を訪問しました。今回のプログラムを通して感じたことを報告します。

5月2日、私たちはナヌムの家(日本軍「従軍慰安婦」の方達が暮らしている)を訪れ、日本人スタッフ矢嶋宰さんの案内で、歴史館を見学しました。その後、イ・オクスンさんというハルモニ(おばあちゃん)にお会いしました。イさんは、私の謝罪に対して、私が求めているのは日本政府の謝罪であり、あなた個人の謝罪ではないと言われ、現在の日本の政権、安倍晋三首相から、謝罪があるとは期待できないと話されました。この言葉には少なからずショックを受けました。私たち市民には、ハルモニたちに対して、何もできることは、ないのでしょうか。

ナヌムの家を訪問した同じ日の夜、メンバーの一人、被爆者の松本滋恵さんの被爆証言を韓国の方達に、聞いていただく機会がありました。証言の後の質疑応答で、一人の韓国の方から、日本の人たちはアメリカに、原爆投下に対する謝罪を求めないのかという質問がありました。松本さんは、日本人がアメリカに謝罪を求めない理由の一つとして、日本人の水に流すという精神性をとりあげえ、応答しました。私からは被爆者の人たちは、世界中の誰一人として、自分たちと同じ経験をして欲しくないと考えていることを伝えました。

日本人は過去の戦争に対して謝罪し、許しを受けていく必要があると思います。ハルモニたちは、日本軍「従軍慰安婦」強制連行の事実を認め、日本政府が公式に謝罪することを求めています(ハルモニたちの要求は七項目あります)。個人の謝罪は何にもならないとイさんは話されましたが、日本人が今後もナヌムの家を訪れ、心からの謝罪を続けることによって、いつの日にか、ハルモニたちの心の傷が癒され、私たちの謝罪を受け入れてくれることを願います。それが私たち日本の市民にできることではないかと思いました。

最後に韓国PAXを受け入れて下さった平和構築共同体のみなさんのあたたかい歓迎、献身的なプログラムへの取り組みに感謝します。今後もこのプログラムが継続し、北東アジアの平和のために、寄与することを願って、私の報告としたいと思います。

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友愛2月号—「立命館大学国際平和ミュージアム」スタディツアーに参加して

友愛
特定非営利活動法人ワールド・フレンドシップ・センター機関紙

「立命館大学国際平和ミュージアム」スタディツアーに参加して」 
髙橋勝己


小雨降る1月末日、京都にある「立命館大学国際平和ミュージアム」を訪問しました。ツアーは総勢8名(WFC理事4名、Hiroshima をつ・た・え・る・基礎講座受講者4名)。JR京都駅で同ミュージアムのボランティアガイドの谷川佳子さんと合流し、彼女の先導でバスにて衣笠山の麓にある立命館大学へと向いました。谷川さんによると同ミュージアムは大学発のものでは世界に類を見ない規模と内容とのこと、期待に胸が弾みました。

先ず訪れたのは、岩国出身の末川博名誉総長の名を冠し、末川先生の遺品展示等がある末川記念會館。ここで、5歳の時に横川で被爆し、現在は京都原水爆被災者懇談会世話人でもある花垣ルミさんが私たちを迎えてくれました。

館内のレストランで昼食、メンバーの自己紹介の後、花垣さんの被爆証言を聞きました。被爆時の様子、とりわけ三滝方面への避難の際に経験したことが後年になってフラッシュバックしたそうです。

隣接するミュージアムへと移り、まず玄関先で“アンネのバラ”が迎えてくれました。建物に入ると、居心地のよい広い空間のラウンジが待っていました。東西の壁面には、戦争禍の過去から明るい未来を表す手塚治虫「火の鳥レリーフ」二枚が光彩を放ち、また印象に残る「ムッちゃん平和像」が鎮座して迎えてくれました。谷川さんの説明によると、ムッちゃんは結核のため防空壕に一人隔離されたまま、戦争が終わったことも知らずに飢えて死んでいった少女だそうです。

続いて、いよいよメインテーマ、“平和をみつめて”の常設展がある地下一階へと向かいました。横手に大きな「わだつみ像」を見ながら階段を下ると展示が始まります。この階では「十五年戦争」と「現代の戦争」の二つのテーマに分かれて展示。特に前者のコーナーには、一次史料に基づく膨大な展示、史実に依拠したニュートラルで分かりやすい説明文があり、感動しました。知らないことをいっぱい発見することができました。

このミュージアムは、立命館が戦前に軍事色の強い学園であったことを自ら痛烈に反省したうえで設立されたものであり、“平和創造の主体者をはぐくむ”とする強い意志が随所にみられました。

展示の内容はそれぞれ重く、テーマを列挙しますと、①軍隊と兵士(帝国軍隊の特徴)、②国民総動員(戦争協力体制)、③植民地と占領地(抗日運動)、④空襲・沖縄戦・原爆、⑤平和への努力(日本人の反戦運動)、そして⑥戦争責任です。中でも、兵士がかついだ30㎏にもなる背嚢の重さ、当初、原爆投下の第一順位にあった京都への投下計画(梅小路機関区から半径2.4㎞の円)を示す航空写真、抗日スローガン等が強く印象に残りました。

続いて、二階に上がり「平和創造展示室」を見学しました。ここでは、“戦闘状態がないことだけが平和ではない”、を中心テーマに、暴力と平和を考えるコーナーの紹介があり、身近にある様々な課題に気づきました。

隣には、長野県上田市にある戦没画学生の美術館「無言館」/京都館-いのちの画室があり、若くして命を落とした画学生たちの作品と向きあいました。

今回の「立命館大学国際平和ミュージアム」訪問では、学術的知見の上に構築された膨大な展示物を通して、戦争の愚かさとともに、平和への志向は個人の主体的な行動によって現実化するということを体感でき、今後の平和活動に向けて大変に有意義なツアーでした。

ガイドをしていただいた谷川さん、花垣さん並びに同行いただいたWFCの理事の皆様に感謝申しあげます。

未来へはばたく「火の鳥レリーフ」をバックに、
左から、仁木さん、渡辺さん、松野さん、三保さん、車地さん、田口さん、高橋、立花さん
未来へはばたく「火の鳥レリーフ」をバックに、
左から、仁木さん、渡辺さん、松野さん、三保さん、車地さん、田口さん、高橋、立花さん

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