韓国PAX2025報告 -過去・現在・未来-

5月1日~6日の日程で、実施された韓国PAX(平和使節交換プログラム)2025は、無事に終了しました。参加、ご協力いただきましたWFCコミュニティーのメンバー、訪問先の皆さま、証言やガイドをしてくださったに皆さまに、感謝申し上げます。今回の韓国からメンバーは、リーダーのリュウ・ヘソンさん、ユ・ミンソさん、ソン・チャンフンさん、キム・キチャンさん(5月1日~3日の3日間参加)、ぺ・ヒョンミン(修復的正義の講師)、パク・ミンジさん夫妻、チョン・ナンチョさん、チェ・ユンギョンさん親子の8名。ホストファミリーを松本滋恵さん(2019年訪韓メンバー)、キャパー敬子さん(20024年訪韓メンバー。娘の実生さんは2019年に参加)、山根美智子さん(2013年訪韓メンバー)、ブラッドリー&スーザン・コックスさん(WFC館長)が引き受けてくださいました。そして忘れられないのは、プログラムに一緒に参加し、写真を撮り、SNSに投稿をしてくれた香港からの旅するボランティア、コリスさんです。

5月1日午前中広島空港に予定より早く到着した一行は、リムジンバスに乗り広島へ。出迎えてくれた理事の車でWFCへ。お昼はピースクワイアのメンバーを中心に、歓迎のポットラックランチ。韓国語での歌も心和ませるものとなったでしょう。ブラッドがWFCやバーバラのことを話してのオリエンテーション。平和公園まで歩いて、バーバラ碑を訪れ、原爆資料館の見学をしました。その後、4日間お世話になるホストファミリーのお宅へ。

5月2日午前中広島朝鮮学校の訪問をさせて頂きました。今回のプログラムの中で一番印象に残ったと多くのメンバーが話してくれました。保育園から高等部まで、クラスを見学し、校長先生から朝鮮学校のおかれている現状についてお聞きし、三つのグループに分かれ、中等部、高等部の生徒たちと昼食の時間を過ごしました。午後は縮景園の散策。WFCコニュニティーのメンバーである砂脇眞理子さん、山縣八寿子さんにお世話になりました。その後、夕方の被爆証言の時間まで自由時間。WFCで広島県朝鮮人被爆者協議会会長の金鎮湖さんのお話を聞きました。金さんは胎内被爆者です。直接朝鮮語で話していただき(朝鮮学校でも同様)、よりお話が伝わったのではないかと思います。

5月3日は午前中「修復的正義」のワークショップ、午後は交流の時間を持ちました。一般公開の形で、修復的正義を取り上げるのは、2023年に続いて二度目です。互いに学び合うことを大切にしたいという思いで、韓国側の交流団体であるピースビルの重要な働きの一つである「修復的正義」について、学ぶ機会を企画しました。プログラム終了の後は、自由時間。みなさん開業後のミナモアに心奪われたようでした。

5月4日午前中広島女学院高校署名実行委員会2年の藤田彩花さん、本倉凰羽さんの二人が、平和公園の碑巡りをしてくれました。事前にWFCに来てくれて、館長のスーさんからガイド学習のサポートしてもらったりしながら、一生懸命準備をしてくれました。昼食はWFC近くでお好み焼き。午後は四日間を振り返って、私にとっての日本、韓国とは、心に遺る体験や言葉を通して語らうサークルトークの時間を持ちました。

5月5日昨年韓国PAXに参加し、大学生になり帰省しているメンバーや英語クラスのメンバーも加わり、宮島観光を楽しみました。宮島は連休で多くの人が訪れていましたが、自然を満喫する時間となったようです(お弁当を鹿に狙われるというハプニングもあったようですが…)。この日はメンバー全員WFCに宿泊。

キッチンで、皆でカレーを作り、食事の後は、それぞれが韓国PAXを通して感じたことを分かち合いました。長年の友情の徴に、記念の盾を頂きました。この日も最後に広島駅のミナモアに行くメンバーも。

5月6日韓国PAX期間中天候に恵まれましたが、帰国の日は雨。しかし、心は快晴。それぞれの胸に様々な思い、思い出が残ったことでしょう。

韓国PAXが始まったのは2003年です。それ以来22年にわたって、相互に訪問し合い、過去に学び、交流を続けてきました。初日のポットラックランチでの歓迎ぶりに驚かれた韓国からのメンバーの方がおられました。私自身二度韓国を訪問した経験があり、韓国のみなさんから受けた暖かいもてなしの心を忘れることはありません。韓国から来られたみなさんも同様に、ホストファミリーのみなさん、WFCのメンバーから受けたもてなしを忘れられることはないでしょう。写真は韓国PAXメンバーから頂いた感謝の気持ちを込めて贈られた記念盾です。「平和に向けたWFCの努力と献身に深く感謝いたします。WFCとピースビルの両機関の長年の友情に感謝を伝え、平和に向けた連帯がさらに強化されることを願う気持ちを込めます」と記されています。

しかし、これは一朝一夕にもたらさせたものではありません。これまで韓国を訪問したみなさん、韓国からのメンバーのホストファミリーとして、韓国からの人たちをもてなして下さったみなさん、韓国PAXの企画・運営に関わったみなさん、プログラムを支えてくださった皆さんのお陰です。

そして、WFCとピースビルの関係はこれからも続きます。そのためには担い手となってくれる人たちの存在、互いに学び合うことを通じて、得たものを引き継いでいく努力が必要です。今回の韓国PAXでは、過去韓国PAXプログラムに参加し、ホストファミリーを引きくけて下さった方、プログラムの一部に帯同してくれた方や、昨年の参加メンバーで、ゴールデンウィークの帰省の合間に参加してくれた若い人達がいました。ワークショップと交流の集いには、昨年の参加者の後輩、崇徳高校新聞部のメンバーが参加し、平和公園ガイドは、女学院高校署名実行委員会のメンバーが英語での案内に挑戦してくれました。WFCが韓国PAXを通じて、積み重ねてきたもの、培ってきたものを周りの方達と共有し、引き継いでいきたいと思います。

今回のプログラムの中で特徴的だったのは、広島朝鮮学校の訪問、在日の方から被爆証言を聞くことでした。参加者のメンバーが今回のPAXで印象的だったこととしてあげてくれました。核兵器廃絶の原点が被爆であるように、朝鮮半島出身者の人たちが、なぜ被爆しなければならなかったのかという韓国の人たちと私たちの関係性の原点を私たちはこれからも忘れてはならないと思います。被爆者の方達も高齢化しPAXへの参加が難しくなってきています。同様のことは韓国にもあてはまります。昨年は、ナヌムの家のハルモニたちが入院されていたために、ハルモニたちに会うことができませんでした。韓国PAXは、互いに学び合うことを大切にしつつも、新たなステージへと進む時を迎えています。