友愛11月号 — 田城美怜さんのアメリカPAX報告

友愛
特定非営利活動法人ワールド・フレンドシップ・センター機関紙

 

「アメリカPAXツアー」を振り返って
平和の基礎となるもの

 

12日間のアメリカPAXツアーは、私にとって「きっかけ」の旅となりました。

日々の体験や気づきから、外からの視点でヒロシマを見るきっかけ、大きな意味で「平和」を考えるきっかけ、そして自分を再確認するきっかけを得られました。

シカゴ大学の最初の核実験施設跡地にある記念モニュメントや国立アメリカ空軍博物館の展示を通して、核開発の始まりが現在も称賛されている文化を目の当たりにしました。ウェスリアン大学で中国人男性から第二次世界大戦中に日本軍がアジア諸国に行ってきたことへの指摘もありました。それぞれのストーリーがあり、歴史的解釈がある中、どうしたら未来に目を向けて話し合い、平和に向かって共に歩んでいけるのか。私たちの世代はこれからヒロシマをどう伝えるべきなのか。

ウェスリアン大学でのピースカンファレンスを通しては、紛争、歴史を遡る憎み合い、格差社会、男女差別など、世界中でそれぞれの「平和」を必要としている人たちの現状とそれらの状況を改善するための活動について学びました。「平和」とはなんなのだろう。一人一人にとっての平和は違うのか。共通するところはなんなのだろう。

私の中で答えは定かになっていない疑問ばかりですが、このようなことを考え、持ち帰ることができました。それらを心に留めながら、さらに学ぶ中で、その答えを少しずつ探っていきたいと思っています。

具体的な気づきとしては大きく二つあります。

一つめは、大学で何度か行ったクラス訪問です。そこでは、一方的プレゼンではなく、質疑応答などの対話が主でした。そこには能動的で直接的な人との繋がりがあり、とても有意義だと感じました。

二つめは、アートの力です。私のプレゼンでは「ヒロシマの孫たち」について少し紹介しました。そして天野さんの「父と暮せば」のひとり読み語りしばい。ヒロシマを伝える効果的な一つの手段として、アートには特別な力があると再確認しました。人間として、心が自然と共感したり、動かされたりする力に人種や国籍などは関係ありませんでした。

これらの気づきをこれから活かしていきたいと思います。今回は大学生より上の人に話すことが主でしたが、次回はもう少し広い世代に、歴史、証言、アートを含め、様々な方法を通してヒロシマを伝え、私たち一人一人が核問題を自らが直面している人類の課題として捉えていくことにつながってほしいと考えます。

毎日が新しいプレゼントを開けるかのような毎日でした。私が赤ん坊の頃に知っていたのよ、という女性との驚きの嬉しい再会が2回もありました。たくさんの人にお世話になり、様々な出会いの中で改めて感じたことがあります。それは、対話による学び、理解、繋がり。すなわち友達になること。やはり平和の土台はそこにあるのかなと強く思いました。

ブレズレン・ボランティアサービスのダンと妻のウェンディ。あなたたちの溢れる寛容さに感謝します。夜の会話の中では、新しい視点をたくさんもらいました。ベーグルから始まり、ベーコン、そして最高のコーヒー。私の小さなアメリカンドリームを叶えてくれました。二人のおかげで私たちの旅は素晴らしいスタートを切ることができました。

イリノイ・ウェズリアン大学のジョージー。意義深いピースカンファレンス、そしてそこから生まれたかけがえのない繋がりをありがとう。色々な気づき、そして学ぶことの幸せ、大切さを改めて感じることができました。あなたと、人として、女性として直面する様々な問題を語り合えた時間は本当に楽しかった。

ウィルミントン大学のタニア。短い時間の間にコミュニティー、アート、博物館と、信じられないくらい多方面から平和を考え、経験させてくれてありがとう。あなたの穏やかでありながら、静かに燃え続ける強さが私は大好きです。そして今までアメリカで食べた中で一番美味しかったかもしれない食事をありがとう。

歴史をもう一度学び直し、それを通して現在を考える必要性を気づかせてくれたスナイダー夫妻にも感謝しています。手作りデザート、そしてベーコンをたくさんありがとう。

ブラフトンのアリス。何年ぶりかわからないくらい長い年月を挟みやっと再会でき、あなたの89歳のお誕生日も一緒に過ごせて、本当に嬉しかった。私が小さかった頃から、今も変わらず、愛情を注いでくれてありがとう。そんなあなたの周りには愛情によって築かれたコミュニティーがあり、平和の根底にあるべきものを垣間見たような気がします。

 

共に旅をしてくださったPAXメンバーの方たち。それぞれの個性でお互いを支え合いながら過ごした掛け替えのない時間と、たくさんの笑いをありがとうございました。

そして最後に、いつも見守ってくださり、今回私にこの素晴らしい機会を与えてくださったWFCの皆さんに心からの感謝を送ります。

写真:写真がボケているのが残念ですが、私の楽しい旅仲間3人。大合唱しながらお散歩していました!

 

 

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